変形性膝関節症?レントゲンで写らない膝の痛み②

前回の記事では、
「レントゲンでは大きな異常がないのに、膝裏が痛い」
という患者様についてご紹介しました。
膝裏には筋肉、腱、半月板、関節包、神経
などさまざまな組織があります。
そのため、「膝裏が痛い」という場所だけで原因を決めるのではなく、
どこに、どのような動きや負荷が加わった時に痛むのか
を細かく確認することが大切です。
今回は、実際に患者様の身体を確認しながら、膝裏の痛みについてさらに詳しく調べていきます。
今回の患者様|50代女性・右膝裏の痛み
今回の患者様は、兵庫県にお住まいの50代女性です。
当院へ来られる前に、大阪にある足を専門に診ている治療院へ相談されていました。
そちらの先生から、
「兵庫県にお住まいなら、KAIFUKU in 大で、足だけではなく身体全体を見てもらえますよ」
とご紹介いただき、当院へ来院されました。
主な症状は、右膝の裏側に出る痛みでした。
患者様は最初、膝の裏が痛いんですとお話しされていました。
しかし、実際に痛む場所を細かく確認してみると、膝の真後ろだけではありませんでした。
膝裏のやや外側から、太ももの方向へ約10cm上まで。
細長い範囲に痛みが広がっていました。
さらに、どのような時に痛みが出るのか確認すると、
- 階段を上る時
- ストレッチで膝裏を伸ばした時
- 膝裏から太ももの外側にかけての筋肉を押した時
などで痛みが出ていました。
病院ではレントゲン検査を受けていましたが、膝の骨や関節には大きな異常は見つからず、痛み止めと湿布で経過を見ることになったそうです。
膝裏の外側には「大腿二頭筋」があります
膝裏の外側から太ももの後面には、大腿二頭筋という筋肉があります。
いわゆるハムストリングスを構成する筋肉の一つです。
今回の患者様が痛みを感じていた場所とも重なります。
さらに、
「ストレッチすると痛い」
「筋肉を押すと痛い」
という反応もありました。
ここまでを見ると、
「大腿二頭筋など、膝裏の筋肉が痛みの原因なのでは?」
と考えたくなります。
しかし、この段階ではまだ断定できません。
膝関節そのものへの負荷によって症状が出ている可能性も残っているからです。
過去の「右股関節の手術」も確認しました
今回、もう一つ気になったのが、患者様が以前に右股関節の手術を受けていたことです。
股関節の手術後には、その後の身体の使い方が変化したり、股関節周囲の動きが硬くなったりすることがあります。
股関節と膝は別々の関節ですが、歩行や階段動作では連動して働いています。
そのため、
股関節が十分に動かない分を、膝周囲の筋肉が補っている可能性はないか?
という視点でも確認する必要があります。
そこで今回は、右股関節の動きにくさと、硬くなっていた大腿二頭筋周囲に対して施術を行いました。
股関節と筋肉への施術後、階段での痛みが軽減
施術後、実際に痛みが出ていた踏み台をもう一度上っていただきました。
すると患者様から、
「あ、さっきよりかなり楽です!」
という反応がありました。
階段動作で感じていた膝裏の痛みが大きく減少しました。
ここまでなら、
「やはり股関節や大腿二頭筋が原因だった」
と考えたくなるところです。
しかし、ここで一つ注意が必要です。
「施術で楽になった」=「原因が確定した」ではありません
施術によって痛みが軽減したことは、身体の状態を考えるうえで重要な情報です。
ただし、
症状が一時的に変化したことと、痛みの原因を特定できたことは同じではありません。
慢性的な膝の痛みでは、筋肉、関節、動作など複数の要素が関係していることもあります。
そこで今度は、
「もし膝関節そのものが関係しているのであれば、膝関節へのアプローチではどのような反応が出るのか?」
という視点から確認してみることにしました。
膝関節へのモビライゼーションでは、反対に痛みが増加
次に行ったのが、膝関節の動きを引き出すための関節モビライゼーションです。
施術後、もう一度同じ動作で身体の反応を確認しました。
すると今度は、
膝裏の痛みが施術前より強くなりました。
筋肉や股関節周囲へアプローチすると、痛みは軽減した。
一方で、膝関節へアプローチすると、痛みは増加した。
この二つの反応は、今回の膝裏の痛みを考えるうえで重要なヒントになります。
痛みの原因を最初から一つに決めない
「筋肉を施術したら楽になったから、筋肉が原因」
「関節への施術で痛くなったから、関節が悪い」
どちらも、その時点ではまだ仮説です。
大切なのは、最初に考えた原因に身体を当てはめるのではなく、
同じ動作を繰り返し確認しながら、身体の反応を比較していくこと。
今回の場合、
筋肉への施術では痛みが軽減した。
関節への施術では痛みが増加した。
という異なる反応が得られました。
では、この違いは何を意味しているのでしょうか。
次回はさらに条件を変えて比較しながら、右膝裏の痛みがどこから生じている可能性が高いのかを絞り込んでいきます。
「レントゲンでわからない膝裏の痛み③」へ続きます。




