身体の反応には無駄がない
筋肉は ”柔らかいor固い” どっちがいいの?
皆さんは、美容院やマッサージなどで
「肩、かなり凝ってますね」
「腰の筋肉、すごく固いですよ」
と言われたことがある方も多いのではないでしょうか。
すると、「筋肉が固い=悪いこと」と、どこかで思い込んでしまいがちです。
たしかに、コリやハリといった症状は不快なものですし、柔らかくなった方が良いです。
ですが本当に、「筋肉が固い」ことは悪なのでしょうか?と、疑問を持つことが結果的に筋肉を良いコンディションに戻していくためには必要、ということについてお話したいと思います。
そもそも、体に無駄な反応はない
まず前提として、人体に起こる反応には、すべて何かしらの意味があります
。
筋肉が固くなるというのも、体を守り、バランスをとろうとする“適応反応”の一つ。
つまり、その固さにも理由があるということです。
• 骨格の歪みを補うために、筋肉が緊張して支えている
• 骨がもろくなり、それを守るように周囲の筋肉が固くなっている
• 関節が不安定で、そのぶん筋肉が支えようとしている
• 内臓に不調があり、反射的に関連する筋肉がこわばっている
• ストレスなどで交感神経が過剰に働き、全身的に緊張している
• 局所的な炎症をかばうために、筋肉がその部位を守っている
• 血液やリンパの流れが滞って、むくみによって筋肉が張っている
これらに共通するのは、「体が必要として、その固さを作っている」という点です。
筋肉の固さは、防衛反応の一つ
筋肉が固くなるというのは、体が自らを守ろうとする“防御のサイン”とも言えます。
つまり、「固さ=悪」ではなく、「固さ=体が正しく働いている証拠」である可能性を考える必要があります。
このような筋肉を、何も考えずに「ほぐしてしまう」と、かえって体のバランスを崩してしまうこともあります。
臨床でよくあるケースとしては、不安定な関節を筋肉が支えている状態で、それをゆるめてしまうと支えがなくなり、痛みやぐらつきが悪化することがあります。
ただし「間違った固さ」もある
とはいえ、すべての固さが“必要なもの”とは限りません。
体が受け取る情報に誤差が生じたり、脳が勘違いを起こすこともあります。
また、神経が過敏に反応していたりすることで、本来は必要ない筋肉の緊張が続いているケースもあります。
こうした“体の誤作動”に気づいてあげることがとっても大事になってきます。
「固い」は悪ではなく、“サイン”です。
ですから、「筋肉が固いですね」と言われたときには、
単純に「悪いこと」と決めつけるのではなく、
「なぜ今、この筋肉は固くなっているのか?」
という視点で体を見ることが大切です。
筋肉の固さは、今の体の状態を映す“鏡”のようなもの。
そこに意味があることを知ることが、より深く体を理解していくうえで必要です。